もくじ
2017年から仮想通貨をはじめ、今は海外を拠点に活動しています。
アルトコインやNFTをメインに売買していたのですが、その後、メタバースに注目し投資しています。今回は、私が投資しているブロックチェーン・メタバースについて解説します。
メタバースとは何か
人々が交流できる仮想空間
メタバースという用語は、1992年に出版されたニール・スティーブンソンによるSF小説『スノウ・クラッシュ』で初めて登場しました。
一言でいうとメタバースとは、人々が交流できる仮想空間のこと。
ゲームなどとは違い、メタバースにはクリアすべきゴールや目標は設定されていません。メタバースではユーザー全員がリアルタイムで同期しており、リセットや一時停止や終了がありません。
現時点でのSNS上での人々の交流は、スマートフォン画面やパソコンモニター越しに行われていますが、メタバースではVRを用いたものもいくつか開発されており、身体性・没入性を伴った交流を体験できます。
メタバースの世界はボーダーレス
メタバース内では現実世界でのアクティビティを行うことができると期待されています。
例えば、バーチャルオフィスに赴いて会議に参加するだとか。家にいたままメタバースにログインし、メタバース内の会社や学校に通うことも可能になるでしょう。
メタバースでは国境は無関係なため、ボーダーレスな労働や教育の機会を実現できます。物理的な空間の制限もないため、イベントやコンサートなども低コストで開催できます。
メタバース市場への投資熱
企業や投資家の間で、メタバース産業への関心が高まっています。
2021年、『Facebook』が社名を『Meta』に変更し、事業の主軸をメタバースに移すことを発表。「メタバース」という言葉がニュースでも話題になり始めました。
その後『Microsoft』もメタバースに進出することを発表しています。
メタバース産業の市場規模は2021年の数百億円から、数年後には100兆円ほどに膨らむという試算もあります。
メタバース内の資産|NFT
自分の資産を所有|管理できる
アイテムが企業によって管理されていた従来のゲームとは異なり、ブロックチェーン・メタバースでは非中央集権的に各ユーザーが自分の資産を所有・管理できます。
ブロックチェーン・メタバースでは、ユーザーが自身の資産を仮想通貨やNFTという形で所有し、経済活動をすることができます。
NFT
Non-Fungible Tokenの略で、非代替性トークンのこと。NFTはデータの所有権を証明することができる技術で、改ざんもできない。
アート作品、メタバースの土地、現実世界の不動産など、NFTとして扱われる対象は幅広い。
従来は、アバターなどのアイテムはひとつのゲーム内でしか使えませんでした。
ブロックチェーン・メタバースでは、アイテムをNFTの形でユーザー自身が所有しているため、複数のブロックチェーン・メタバースで同じアイテムを使うことができます。
セカンドライフとブロックチェーン・メタバースの違い
一時人気だったメタバース『セカンドライフ』がローンチされた2003年には、まだブロックチェーンが発明されていませんでした。
ユーザーが真の意味でアイテムの所有権を持てるかどうかが、『セカンドライフ』とブロックチェーン・メタバースの大きな違いです。
独自トークン
また、各ブロックチェーン・メタバースには独自のトークンが流通していることが多く、ユーザーはそのトークンを用いてアイテムを売買できます。
トークンの所有者がルール決定のための投票を行うこともできたりします。各ユーザーがメタバースのガバナンスに参加し、分散型自立組織(DAO)を形成してメタバースの運営に関われるのです。
DAO
参加者同士で管理する組織。「ガバナンストークン」と呼ばれる独自のトークンを保有すると、その割合によって意思決定に参加したり、組織に提案をしたりすることができる。
ブロックチェーン・メタバースでは、有限の土地を購入することもできます。土地もNFTの形で所有できます。
メタバースと土地投資
将来のメタバース産業の有望性を考えてメタバース関連企業の株を買うのもよいですが、より直接的に、そして楽しみながら投資する方法があります。
それは、ブロックチェーンの仕組みを導入したブロックチェーン・メタバースの「土地」を購入すること。
ブロックチェーン
ビットコインをはじめとした仮想通貨の基盤となる分散台帳を実現する技術。ブロックチェーンを用いることで、ユーザー間の送受金や契約を安全かつ堅牢に行なうことができる。
すでに一部の大手企業、ブランドも、メタバースの土地を購入しています。メタバースの土地購入と開発を専門とする投資ファンドすら出てきました。
2021年1月から2022年1月の1年間で、主要なブロックチェーン・メタバースの土地価格は2倍ほど上昇しています。
今後、ブロックチェーン・メタバースへの注目が高まる中で、投資家がメタバースの土地を奪い合うようになるかもしれません。
土地の購入には、そのメタバースで独自に流通しているトークンや仮想通貨のイーサリアムなどが必要になります。
イーサリアム(ETH)
ブロックチェーンに「スマートコントラクト」という契約機能を組み込んだ、分散型プラットフォーム。イーサリアム上には様々な分散型金融やNFTマーケットプレイスなど様々なアプリケーションを構築することができる。
イーサリアム上でスマートコントラクトや送受金などを行う際には、プラットホーム手数料(ガス代という)として仮想通貨ETHが必要になる。イーサリアムの需要が高まればETHの価値も上がるので、ETHはビットコインと並び投資対象として人気のある仮想通貨。
メタバース内のマーケットプレイスやOpenSeaなどのNFT売買プラットフォームで購入できます。
OpenSea
世界最大規模のNFTマーケットプレイス。イーサリアムやポリゴンなどのプラットホーム上で発行されたNFTを売買できる。
ブロックチェーン・メタバースの土地に価値がある理由
「仮想空間の土地に価値なんてあるの?」
そんな風に思う方もいるでしょう。
でも、よく考えてみてください。ブランド品も、貴金属も、「ビットコイン」や、日本円も、すべては人々が「価値がある」と思い込むことで実際に価値がついています。
例えばビットコイン。ビットコインに金銭的価値がつき、さらに時間の経過とともに値上がりすることで、多くの人がビットコインに夢中になりました。
結果としてビットコインの保有者は大幅に増え、ビットコインの経済圏は、ますます広がり、法定通貨として採用する国家まで現れました。
人類は、価値が出るものに夢中になって集まり発展します。
メタバースのようなリアリティに満ちた世界であれば、人々はそれを「本物」と錯覚しやすくなります。メタバースの土地は投資家に共同幻想を抱かせるのに、じゅうぶんな説得力を帯びていると言えます。
だから、私は「メタバース上の有限な土地には価値がある」と考えます。
そして、そのようなメタバースには人が集まり、経済圏も発展するでしょう。
土地購入で得られる利益
キャピタルゲイン|売却益
まず一つ目。一番わかりやすいのは土地が値上がりした時に売却し、売却益を得ること。
インカムゲイン|賃貸収入など
売却益を狙うほか、自分の土地を他人に貸し出して賃貸収入を得ることもできます。
その土地に建物を建てたりゲームコンテンツを構築し、物件の付加価値を高めて売却や賃貸をすることも考えられます。
自分の土地でイベントを開いたりお店を出すことで、イベントチケットやデジタル商品を売ることもできます。
現実世界の土地投資と似ている
メタバースの土地への投資は、現実世界の土地への投資とあまり変わらないことがわかると思います。
将来的には、土地や物件の賃貸や担保について扱う分散型金融(DeFi)サービスも登場し、より簡便に取引できるようになることでしょう。
金銭的な利益を得る他に、自分で建物を制作したり、メタバース内で活動してみるなど、投資をきっかけに新しい技術に触れ、楽しむこともできます。
注目の3つのブロックチェーン・メタバース
2022年3月時点でサービスをローンチしているブロックチェーン・メタバースのうち、
注目の3つをここで紹介します。
フロアー価格
最低落札価格のこと。土地区画のフロアー価格はメタバースごとに異なる。土地区画のフロアー価格は、そのメタバースの人気の指標になる。
The Sandbox
HP | The Sandbox |
---|---|
独自トークン | SAND |
土地区画数 | 166,464 |
土地フロアー価格 | 3.6ETH(2022年2月時点) |
土地時価総額 | 17億USD以上(2022年2月時点) |
The Sandboxは、イーサリアムチェーン上のブロックチェーン・メタバースです。
Minecraftと類似したボクセル調のビジュアルが特徴です。
ウェブにてウォレットを接続してログインして遊ぶことができます。
The Sandboxではユーザーが自分のオリジナルNFTを簡単に作成、使用、販売できるようになっています。
ここでは独自トークンのSANDが利用され、メタバースエコノミーを形成しています。
2022年にはSANDをガバナンストークンとしたDAOも設立予定です。
The SandboxのGame Makerというツールを用いて無料でゲームを作ることができますが、そのゲームを公開して他のユーザーに参加してもらうには、土地区画「LAND」が必要です。
LANDは全部で16万6464区画あり、OpenSeaのセカンダリー・マーケットで購入することができます。
隣接するLANDを合体させ、より大きな区画「ESTATE」を作ることも可能です。
将来的には、LANDの賃貸も可能になる予定です。
提携パートナーにはスクウェア・エニックス、Samsung、Atariなどのビッグブランドも名を連ねています。
また、Snoop Doggのようなビッグネーム・アーティストもThe Sandboxに区画を持っており、バーチャルコンサートを開催しています。
The Sandboxには大きな資本とセレブリティが入っており、ブロックチェーン・メタバースの中でも先頭を走っているといえます。
Decentraland
HP | Decentraland |
---|---|
独自トークン | MANA |
土地区画数 | 90,601 |
土地フロアー価格 | 4.7ETH(2022年2月時点) |
土地時価総額 | 13億USD以上(2022年2月時点) |
Decentralandはブロックチェーン・メタバースの中では最も古いプロジェクトの一つです。
やはりイーサリアムチェーン上に構築されており、独自トークンのMANAで経済活動とガバナンスに参加できます。
こちらもウェブからログインしてプレイできます。
Decentralandには16メートル×16メートルのLANDが全部で9万601区画あります。
こちらもOpenSeaのセカンダリー・マーケットで購入できます。
Decentraland内には、共通のテーマを中心としたコミュニティの「地区」があります。
例えばアジア地区では日本の伝統的建造物なども多く建てられています。
メタバース不動産投資機関のRepublic Realmが購入した区画には原宿になぞらえた「Metajuku」があります。
さらにMetajukuの一角には、投資機関のJP Morganがメタバース店舗を構えており、近々営業を始めるようです。
このようにDecentralandにも世界的大手企業の参入が始まっており、今後も続々と企業の流入が進みそうです。
2022年中にはVRに対応することが発表されており、より没入感を得られるメタバースに成長することが期待されています。
Somnium Space
HP | Somnium Space |
---|---|
独自トークン | CUBE |
土地区画数 | 5,000 |
土地フロアー価格 | 3.5ETH(2022年2月時点) |
土地時価総額 | 0.6億USD以上(2022年2月時点) |
Somnium SpaceはイーサリアムチェーンとSolanaチェーンのマルチチェーンに対応したブロックチェーン・メタバースです。
Somnium SpaceはVRに対応しており、ユーザーは没入性・身体性を伴ったメタバース体験を味わうことが可能です。
ビジュアル構築はSONYと提携していることもあり、その鮮明さは他のブロックチェーン・メタバースに比べて一線を画しています。
このメタバースには建物やアバターの構築ツールが備わっており、ユーザーは好きな作品をカスタマイズできます。
ユーザーがゲームコンテンツなどのワールドを構築するためには、土地区画「PARCEL」を購入している必要があります。
PARCELはすでに複数回のInitial Land Offerings(ILO)で売却が行われています。
まだ解放されていないPARCELもあり、今後もILOが実施される予定です。
PERCELのセカンダリー・マーケットはOpenSeaにて開かれています。
仮想通貨取引所Geminiのオーナーであるウィンクルボス兄弟はSomnium Spaceに出資しており、Geminiの本社をSomnium Spaceに移転させています。
また、米クリプト大手のFTXもメタバース本社をSomnium Spaceに設置しており、今後も有力プレイヤーの参入が予想されます。
メタバースのすごさと土地投資 まとめ
ブロックチェーン・メタバースはまだ発展の入口にある未成熟な市場です。
これからローンチ予定のブロックチェーン・メタバースも数多くあり、その中からビッグプレイヤーが誕生するかもしれません。
その一方で、ローンチできなかったり、詐欺的なプロジェクトも多く出てくることでしょう。未成熟な市場ゆえに、チャンスもリスクも大きいのです。
投資を考えるときは、ぜひご自身でプロジェクトの内容をしっかり吟味してください💓